そもそもヤギ汁ってなに?
郷土料理は、もともと好き嫌いが分かれやすいと言われます。
好きな人にとってはたまらなく魅力的なものになる一方、ダメな人はまったくダメなものです。
それだけ郷土料理には豊かな個性があり、好みが合う人を強烈に惹きつける魅力を持っているのでしょう。
沖縄の郷土料理のひとつ、ヤギ汁もそんな個性と魅力を持った料理のひとつです。
そもそもヤギ汁とはどんな料理なのかというと、内容はいたってシンプル、ヤギの肉と野菜を一緒に煮込んで作られる料理です。
もともとヤギ肉は風味にクセがあって好き嫌いが分かれると言われますが、このヤギ汁はそんなヤギ肉の特徴が全面に出ており、強烈な匂いを伴っています。
おそらくはじめてヤギ汁を食べる方は、その匂いに驚くことでしょう。
実際に沖縄でもこの匂いがちょっと気になるという人も多く、調理する際にショウガやヨモギを混ぜて匂いを消す工夫が施されることもあります。
このように匂いの段階で強烈なクセがあるわけですが、好きな人にとってはこの匂いからして食欲をそそられ、食べずにはいられなくなるそうです。
好きな人にとっては「世界一美味しい」、だめな人には「匂いからして無理」、これほど評価が極端に分ける郷土料理も珍しいのではないでしょうか。
その魅力は?
いきなりクセの強さばかりを強調してしまいましたが、肝心の味の方は意外とさっぱりしており、それほど好き嫌いがでるようなものではありません。
そして肉がトロトロして柔らかく食べやすく、この食べごたえに魅力を感じる人も多いようです。
先程触れたように、匂いを消すためにショウガやよもぎ(沖縄ではフーチバーといいます)を混ぜることで風味が豊かになる、とも言われています。
もともと沖縄では、新築祝いなどめでたいことがあったときにこのヤギ汁を食べる習慣があります。
「ヒージャグスイ」とも呼ばれており、これは「滋養の高いもの」といった意味です。
つまり、郷土料理であると同時に体力をつけるためのスタミナ料理でもあるわけです。
食べられるスポット
郷土料理というからには一般家庭で食べられているわけですが、観光客が気軽に食べられるお店もあります。
例えば中頭郡北中城村島袋にある「山羊料理 やぎ料理店南山」では、クセを和らげて誰でも食べやすいように工夫されたヤギ汁を食べられます。
沖縄でもっとも老舗のヤギ料理店のひとつですから、ヤギ料理をそのものを楽しみたい方にもおすすめです。
新しいお店では、2021年にオープンしたばかりの「ピンザプラン中城牧場ヤギ精肉店」がおすすめです。
中城村泊にある店で、なんといっても自社の牧場で飼育しているヤギだけを使用している、正真正銘の沖縄産ヤギ汁を食べられるのが魅力です。
好き嫌いが分かれるのは確かですが、沖縄ならではの魅力を楽しめる郷土料理なのも間違いありません。
沖縄に興味がある方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。